広告や採用、ブランディングなど、さまざまな用途で動画のニーズが高まる一方で、
「自分たちも動画を活用したいけれど、何から始めればいいのか分からない」
そう感じている企業担当者の方は少なくありません。
初めての発注では、制作の流れや予算感、関わり方など、多くの“見えない不安”がつきまといます。
本記事では、動画制作を初めて依頼する方に向けて、
企画から納品までの一連の流れと、各ステップでのポイントをわかりやすく整理しています。
「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、
まずは全体像を理解し、自社に合った制作パートナーと安心して進める準備を整えましょう。
1. まず最初に確認したい「動画制作の目的」
動画制作で失敗が起きやすい理由のひとつが、「目的が曖昧なまま発注してしまうこと」です。
たとえば、以下のようなケースはよくあります。
- 採用向けに動画をつくったが、社内紹介のような内容に留まり、応募増につながらなかった
- 商品紹介動画を作成したが、営業現場では使いにくく、結局活用されなかった
- ブランディングを意識して映像のクオリティにこだわったが、目的との整合性が取れなかった
こうしたギャップの原因は、「誰に、何を伝え、どう行動してもらいたいか」という動画の目的が、
社内でも制作者側でも明確になっていないことにあります。
▼目的によって変わる構成・演出
動画の目的によって、必要な要素は大きく変わります。
制作の方向性を決めるうえで、目的はすべての起点です。
ここがぶれていると、後の企画・構成・撮影・編集すべてに影響が出てしまいます。
▼まず最初に考えるべき3つの問い
動画制作を検討しはじめたら、以下の3つをシンプルに書き出してみてください。
- 誰に届けたいのか(ターゲット)
- 何を伝えたいのか(メッセージ)
- 何をしてほしいのか(視聴後のアクション)
この3点が明確になるだけで、制作会社との打ち合わせの精度がぐっと高まります。
2.動画制作の全体フロー【6ステップ】
動画制作を発注する際、多くの担当者が不安に感じるのが
「自分たちはどこまで関わるべきか」
「何がどこで決まるのか」
といった進行の流れです。
このセクションでは、一般的な企業向け動画制作の流れを6つのステップに分けて解説します。
ステップ1:ヒアリング・相談
まずは、現状の課題や動画の目的、ターゲット、活用シーンについてヒアリングを行います。
- 目的:採用なのか、営業支援なのか、ブランディングなのか
- 使用場所:Webサイト、SNS、採用説明会など
- 参考イメージ:過去に見た動画や希望する雰囲気があれば共有
この段階でしっかりとビジョンを共有できるかが、その後の提案の質を大きく左右します。
ステップ2:企画・構成案の提案
ヒアリング内容をもとに、動画の構成案(台本や絵コンテ)を作成します。
- メッセージの流れ
- 出演者・撮影場所の想定
- 必要な撮影カットや資料の洗い出し
- 演出の方向性(インタビュー中心/ナレーション中心/テロップ多用 など)
この時点で社内確認用の資料として活用できる「企画書」も共有されるケースが多く、稟議にも有用です。
ステップ3:見積・契約
構成案に納得いただいたら、正式な見積書を提示し、契約を交わします。
- 費用内訳(撮影・編集・ディレクション費用など)
- スケジュール(撮影日・初稿提出日・納品日)
- 修正回数や納品形式の取り決め
ここで、社内稟議を通すための情報が揃います。
ステップ4:撮影・素材収録
必要に応じて、実際の撮影を行います。
- 社員インタビュー
- 商品や現場風景の撮影
- ナレーション収録・BGM選定
- 使用する資料やロゴの提供
社内での撮影がある場合は、事前にスペース確保や社員スケジュールの調整が必要です。
ステップ5:編集・初稿提出
撮影素材や提供データを元に編集を行い、初稿(仮完成版)を提出します。
- BGM・テロップ・ナレーションの挿入
- イメージやテンポの整合性チェック
- フィードバックのやりとり
この段階で「伝えたい内容になっているか」「見やすさ・雰囲気は合っているか」を確認します。
ステップ6:修正・納品
初稿のフィードバックをもとに修正を加え、最終版を納品します。
- ファイル形式(mp4、movなど)
- 使用シーン別のフォーマット出力(SNS用短尺など)
動画の利用マニュアルやサムネイル画像の提供が含まれることも
納品後の動画活用についても、運用方法の提案があれば積極的に相談しましょう。
3.依頼前に準備しておくとスムーズなこと
動画制作は、制作会社にすべてを任せればよいというものではありません。
事前に整理しておくべき情報がいくつかあります。これらが明確になっていると、打ち合わせや企画提案の質が上がり、スケジュールも短縮できます。
▼動画の目的と使用シーン
- 何に使う? → 採用なのか、営業ツールなのか、社内教育用なのか
- 公開媒体は? → Webサイト、SNS、YouTube、展示会用モニターなど
- CVポイントは? → 視聴者にどういう行動を取ってほしいのか
目的と活用シーンが明確になると、動画のトーンや尺、構成が具体化しやすくなります。
▼ 参考動画やイメージ
- 「この会社の動画が理想に近い」
- 「この表現は避けたい」
参考となる動画や事例を共有しておくと、制作会社とのイメージのズレを防げます。
理想とする参考資料がない場合も、NGイメージが共有できるだけで制作側はスムーズに進められます。
▼ 社内調整・撮影協力の見通し
- 社内で出演をお願いできる社員はいるか
- 撮影場所の確保やスケジュール調整は可能か
- 承認フローは誰が関わるか
とくに社内で撮影を行う場合、ロケ環境や出演者のスケジュール調整が成功のカギになります。
採用動画用のインタビューや、PR動画などに実際のスタッフさんが入るだけで動画の説得力がぐんとアップします。
▼ 納期と公開タイミングの希望
- いつまでに納品してほしいのか(採用イベント、展示会などに間に合わせたい)
- 一般公開日や社内共有の予定があるか
あらかじめゴールのタイミングが明確になっていると、スケジュール管理もしやすくなります。
まとめ:段取りが整えば、動画制作はもっと安心できる
動画制作は、目的の整理とパートナー選び、そして段取りがすべてです。
特別な知識がなくても、流れを理解し、必要な情報を準備しておくことで、成果のある動画に近づきます。
本記事で紹介した「6つのステップ」と「依頼前の準備項目」を押さえておけば、
初めての動画制作でも、社内外の信頼を得ながらスムーズに進めることができます。
「丸投げ」をメリットとしているサービスもありますが、
本当に自分たちが納得のいく制作物を作っていくために
全体像のイメージをしっかりと持って依頼をするように心掛けていくのがポイントです。