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【25/5/2掲載】お客さまの“気持ち導線”を整える 飲食店のマーケティング戦略

「SNSもがんばってるし、口コミも悪くないのに、なぜかお客さまが増えない」

「どこに投資すれば、売上につながるのかが分からない」

そんな悩みを抱える飲食店は少なくありません。
料理の味やサービスに自信があるのに、思ったように集客できない——。

 

その原因の多くは、「マーケティング=宣伝」と誤解されていることにあります。
飲食店にとってのマーケティングとは、単なる広告や割引ではなく、

「お客さまが来店するまでの流れ」を、意図的に設計することです。

本コラムでは、数字や仕組みに苦手意識のある方でも実践できるように、
マーケティングの考え方を「料理と同じように“設計する」という視点でお届けします。

 


1. 「お客さんが来ない」の本当の理由

「うちは味には自信があるんだけどなあ」

「インスタも週に何回か投稿してるのに…」

——それでも思うようにお客さまが来ない。その理由を“努力不足”にしてしまうのは、もったいないことです。

本当に多くのお店が、実は「マーケティングの構造」ではなく「根性と勘」に頼って動いています。
でも、集客がうまくいかない原因の多くは、「お客さまが来られる状態にない」という“見えない構造”にあります。

 

たとえば、こんな例があります。

  • Googleマップの営業時間が間違っていた(→来るつもりだった人が来られない)
  • SNSに定休日や価格帯が書かれていない(→不安で来店をやめる)
  • メニューやお店の魅力が“よくある店”の中に埋もれてしまっている(→記憶に残らない)

つまり、「料理が美味しいかどうか」の前に、“来店というアクション”が発生する条件が揃っていないケースが非常に多いのです。

 

これは、お店の魅力や実力とはまったく別の話です。
どんなに素晴らしい店でも、“見つけてもらえない”“伝わっていない”“行きにくい”状態では、お客さまは動きません。

だからこそ、「うちの魅力を、正しく・効率よく届ける設計」が必要になります。
それこそが、飲食店にとっての“マーケティング”の出発点です。

 


2. “知られていない”のか、“伝わっていない”のか?

お客さまが来ない理由は、大きく分けて二つあります。

「そもそも知られていない」か、あるいは「知ってはいるけど、行く理由がない」か。

この違いを意識してマーケティングを設計しているお店は、実はあまり多くありません。

 

良くあるケースとしては、、

  • 「よく前を通って気にはなってたけど、入りづらくて行ってない」
  • 「SNSで見かけたけど、どんな店かよく分からなかった」
  • 「あの店ってランチやってるの?夜だけ?」

これはすべて、“知っていたのに来なかった”パターンです。

つまり、「お店の魅力が“伝わっていなかった」ということになります。

 

一方で、たとえば郊外の立地だったり、新しくできたばかりの店で、“まだ知られていない”だけということもあります。
この場合はまず、“存在を知ってもらう”ためのアクションが必要です。

  • Googleマップの登録とMEO対策
  • 近隣へのチラシやポスティング
  • 店頭で目を引くA看板やのぼり
  • 地域系メディアや口コミ投稿の依頼

このように、「知られていない状態」なのか、「伝わっていない状態」なのか。
まずはこの二つを切り分けて考えることで、どんな手段を優先すべきかが見えてきます。

マーケティングの第一歩は、“頑張る”ことではなく、“今の課題がどこにあるか”を見極めることなのです。

 


3. 集客は「流入 × 価値 × 導線」で考える

飲食店の集客は、単に「人を呼び込む」ことではありません。
正確に言えば、それは「お客さまが自然に来店したくなる流れを設計すること」です。

その流れは、大きく3つの要素に分解できます。

 

1. 流入(見つけてもらう)

まず、お店の存在を知ってもらわなければ始まりません。

GoogleマップやSNS、看板、口コミ、チラシなど、お客さまが“知るきっかけ”をどこに用意するかがこのフェーズです。

 

2. 価値(行く理由をつくる)

次に、「行ってみたい」と思ってもらう理由が必要です。

それは、お得なキャンペーンかもしれませんし、料理のこだわり、雰囲気、接客など、そのお店ならではの魅力がどう伝わっているか、ということです。

「オシャレ」「入りやすそう」「予約しやすい」「ひとりでも行けそう」など、
お客さまの“気持ちのハードル”を下げてあげる工夫が、このステップにあたります。

 

3. 導線(スムーズに行動できる)

最後に、「じゃあ行こう」と思った時に、行き方・営業時間・空席状況などがスムーズに分かる状態であることが大切です。

ここでつまずくと、せっかく価値を感じてもらっても、離脱されてしまいます。

↓↓↓↓↓↓↓

この3つを掛け合わせたものが、「今、来てくれるお客さまの数」です。

 

つまり、

流入 × 価値 × 導線 = 集客力

この公式を頭に入れておくと、
「うち、今“価値”は伝わってるけど“導線”が弱いかもな」など、改善ポイントが見えてきます。

なんとなく頑張るのではなく、“仕組み”として整えていくこと
それが、安定した集客につながっていきます。

 


4. 飲食店に必要な4つのマーケティングチャネル

マーケティングの目的は、「来店という行動につなげること」です。

そのために、どんな“入り口”をつくっておくべきか。

飲食店にとって特に重要なチャネルは、次の4つです。

 

1. Googleマップ(=今すぐ行きたい人への入口)

お店を探している多くの人は、Googleマップから行き先を決めています
「駅名+ジャンル(例:中目黒 イタリアン)」で検索されたときに上位表示されるかどうか。

 

これはMEO(Map Engine Optimization)と呼ばれる領域です。

  • 正しい営業時間と定休日の登録
  • 写真や最新メニューの定期更新
  • 投稿(新着情報)の活用
  • クチコミ対応の丁寧さ

これらを整備しておくだけで、知らないうちに多くの「今すぐ行きたい人」を取りこぼさなくなります。

 

2. SNS(=関心層と“関係性”を育てる)

InstagramやX(旧Twitter)は、まだ見ぬお客さまとの関係を築く場です。

 

Googleマップが“探している人”向けなら、SNSは“なんとなく見ている人”向け。
ここでは、売り込みよりも「共感できる世界観づくり」が鍵になります。

  • メニュー写真にこだわる
  • スタッフの日常を見せる
  • 投稿に“らしさ”を持たせる
  • ハッシュタグや位置情報で拡散を図る

「推したくなる店」は、SNSの発信から育ちます。

 

3. 店頭・紙媒体(=地元層の注意をつかむ)

特に商店街や住宅街エリアでは、アナログの強さが根強く残ります。

  • 通りがかりで目を引くA看板やメニュー掲示
  • ポスティングやチラシによるキャンペーン告知
  • 地域系フリーペーパーへの掲載

視認性や第一印象が、ふとした「気になる」を生み、来店につながります。

 

4. 口コミ(=信頼と再来店を生む)

もっとも強力なのが、やはり口コミです。

 

とくに“紹介による来店”は、最初から信頼されている状態での来店になります。

  • 常連さんとの会話の中で「紹介したくなるきっかけ」をつくる
  • SNSで紹介してくれた投稿に必ずリアクションする
  • リピーター向けの“隠し特典”などを用意する

 

口コミは操作できませんが、仕掛けることはできます。

これら4つのチャネルを、「全部やらなきゃ」と思う必要はありません。

大切なのは、自分のお店にとって、どれが最も効果的かを見極めて使い分けることです。

 

5. 売上につながる情報発信の“型”を持とう

「SNSも投稿してるし、Googleにも登録してある。でも効果が感じられない」

そんな悩みは、多くの飲食店に共通しています。

実は、情報発信の成否は“中身”より“構造”にあることが多いのです。


つまり、「どんな内容を、どんな順番で、誰に向けて出すか」という“型”が整っていないと、伝えたいことが届かないのです。

 

情報発信の基本構造:3ステップ
① 興味をひく(Attention)

最初の1秒で「気になる」と思わせる。写真、見出し、最初の一文が勝負です。

例:「今日は“裏メニュー”の日」「実は、店主が泣きました」

 

② 行きたくなる理由をつくる(Desire)

料理のこだわりや店主の想い、期間限定の価値などをシンプルに。

例:「1日10食限定のラムカレー、仕込みに12時間かかってます」

 

③ 行動につなげる(Action)

「予約はこちら」「今日も18時から営業中!」など、明確な“導線”を設置します。

この3ステップを意識するだけで、情報の“伝わり方”が劇的に変わります。

 

投稿の種類も「型」を使い分ける

同じような内容を毎日出していても飽きられてしまいます。
いくつかの“型”を使い分けることで、情報にリズムが生まれます。

  • 商品紹介型:おすすめ料理や新作、人気メニューの紹介
  • ストーリー型:料理の裏話、店主やスタッフのエピソード
  • お知らせ型:営業時間、休業、イベント情報など
  • お客さま参加型:口コミ紹介、投稿シェア、アンケート

 

情報発信も、メニューと同じで「構成のバランス」が大切なのです。

毎回完璧な投稿を目指す必要はありません。

大切なのは、「誰に届けたいか」「何をしてほしいか」を決めてから発信すること。

それだけで、売上につながる情報発信の精度が確実に上がっていきます。

 


6. マーケティングは「お客さまの視点で想像し続ける力」

マーケティングというと、「戦略」や「分析」といった言葉が先に浮かぶかもしれません。
けれども、飲食店にとって本質的なマーケティングとは——

「お客さまの気持ちになって考え続けること」です。

 

たとえば、こういう問いを自分に投げかけてみてください。

  • この写真、知らない人が見て“美味しそう”と感じるだろうか?
  • 店名やメニューから、どんな店かイメージできるだろうか?
  • 自分が初めてこの店に来たとしたら、入りやすい雰囲気だろうか?

これらはすべて、「自分ではない誰かの視点で想像する力」によって導き出されます。

 

「良い店」ではなく、「選ばれる店」にする

美味しい料理、心地よい接客、居心地のいい空間。

それだけでも素晴らしいお店ですが、それを「伝わる形に変換する」ことができなければ、知らない人には届きません。

どれだけ誠実に運営していても、気づいてもらえなければ存在していないのと同じ。
だからこそ、“お客さまの目線で見て、感じて、整える”という習慣が、マーケティングの土台になるのです。

 

「もっと来てほしい」と願う前に、
「どうすれば来たくなるだろう?」と想像してみましょう。

それが、あなたのお店を“選ばれる存在”へと育ててくれます。

 


まとめ:「伝える力」もまた、お店の味になる

どれだけ美味しい料理をつくっても、どれだけ居心地の良い空間を整えても、
その魅力が伝わらなければ、存在していないのと同じです。

マーケティングとは、ただ人を集めるための宣伝ではありません。

それは、お店の魅力を“見つけてもらい、理解してもらい、来店という行動につなげる”設計のことです。

 

Googleマップ、SNS、チラシ、口コミ——

手段はさまざまでも、軸になるのは「お客さまの視点で考え続ける力」です。
どのチャネルを使うか、どんな言葉で伝えるか、どの瞬間にアクションを促すか。
それを意図して設計できるお店は、集客に振り回されることがなくなります。

 

料理を丁寧に仕込むように、
お客さまとの関係も丁寧に仕込んでいく。

それが、飲食店における本当のマーケティングではないでしょうか。

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