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【25/4/23掲載】リピーターを育てる、お店の“推され方” 販促とブランディングで、ファンに選ばれる店へ

はじめに:売上は「新規×リピート」でできている

どれだけ話題になっても、リピーターがつかなければお店は続きません。

飲食店の売上の方程式は「新規客 × リピート率 × 客単価」。
けれども、多くの経営者が“新規集客”にばかり注力してしまいます。

一度来てくれたお客様が「また来たい」と思い、さらには「誰かに教えたい」と思うには理由があります。
それは単に料理の味や接客の良さだけではなく、お店の“推され方”にあります。

今回のテーマは、リピーターを育てるためのブランディングと販促の考え方。
選ばれる店から語られる店へ。小さな店でもできる、ファンが育つ仕組みをひも解いていきます。

 


一度来たお客様は、なぜ再訪するのか?

 

感情が動いたとき、人は“また来たくなる”

リピートには「感情の記憶」が欠かせません。

料理が美味しいのはもちろん大前提として、それ以上に「あの時、こう感じた」という印象が残ると、再訪の確率が格段に上がります。

 

たとえば、

  • メニューの説明に生産者への敬意が感じられた
  • カウンター越しの何気ない会話が温かかった
  • 他にはないちょっとした演出にワクワクした

こうした“小さな感動”が、次の来店理由になります。
スペックで訴求するのではなく、よりエモーショナルな関係作り。

 

こんなこと当たり前、と思うかもしれないですが、
希薄なコミュニケーションが増えている昨今のサービスを見ていると、意外とおざなりにされている要素なのかもしれません。

満足=機能、感動=記憶

満足は「お腹が満たされた」「価格に見合っていた」といった“機能的評価”。
対して、感動や共感は“情緒的評価”であり、こちらのほうが長期的な記憶として残ります。

どんなに味がよくても、記憶に残る体験がなければ、「また行こう」という気持ちは起こりにくいのです。

 

再訪の動機は「再会」でもある

リピートには“人”の力も大きく関係しています。

店主やスタッフとのちょっとした会話の中に、個人的な関わりを感じられたとき。
お客様は「またあの人に会いたい」と思うようになります。

”GIVE AND TAKE”は”GIVE”から始まります。
普段は完璧な料理人がちらっと人間臭い、可愛い部分を見せると、不思議と魅かれるということありますよね。

 


「推される店」は何が違う?

 

推される店には“語りたくなるフック”がある

SNSで紹介されるお店、友人に勧めたくなるお店には共通点があります。
それは、「この話、誰かにしたい」と思わせる“ネタ”を持っていること。

 

  • 見た目がユニークな名物メニュー
  • 意外性のある店名やコンセプト
  • 古民家を改装した一風変わった空間
  • スタッフのキャラクターや店主のエピソード

 

「口コミされる」は偶然ではない

口コミやSNS投稿が起きるためには、お客様が「誰かに言いたくなる仕掛け」を感じていなければいけません。

 

  • 商品開発にまつわるエピソード
  • 限定性の演出(1日10食など)
  • 感情をくすぐるネーミング
  • 写真を撮りたくなるスポット

 

店の側が「語られる要素」を意識して設計することで、自然と発信は生まれていきます。

サジ加減が難しいところですが、おすすめの一品だけでもこだわりのコメントを挟むなど、ひと工夫してみると違う反応が見られるかもしれません。

 


ファン化につながる販促とコミュニケーション

 

販促は“関係づくり”のツール

スタンプカードや割引よりも、「このお店とつながっていたい」と感じさせる関係性が、今の時代の販促です。

  • 記念日メッセージ
  • 会話の記憶を引き継ぐ接客
  • SNSでのコメント返し

 

お客様との関係を“続ける努力”が、リピートにつながります。
人の記憶は引き継げませんが、予約帳にその日の会話やオーダーした料理をメモ程度に残すだけでも効果あり。

横浜にある老舗のホテルバーでは、前日のお客様の情報を全て営業前のミーティングで全員と共有するそうです。

 

コミュニケーションは来店後が勝負

来店時の感動を保つためには、日常の中にお店を思い出してもらう“軽い接点”が必要です。

  • ストーリーズで裏側を見せる
  • LINEで予約空き情報をシェア
  • おすすめメニューの写真投稿

 

「売り込み」ではなく、「ふと思い出してもらえる存在」を目指すのがコツです。

 

ファンだけの“内輪感”をあえてつくる
  • 裏メニュー
  • ファン限定イベント
  • 優先予約の仕組み

こうした“知る人ぞ知る”要素が、常連の愛着を育て、自然と周囲に広まっていきます。

 


ブランディングの基本は「共通体験」

 

世界観は、統一された“感覚の記憶”から生まれる
  • 音楽や香り、器やメニュー表などが一貫している
  • 会話のトーンや空間の雰囲気も含めて「その店らしさ」がある

 

お客様の中に「このお店って◯◯っぽい」と残る印象があれば、それは立派なブランドです。

私が以前勤めていたイタリア料理店では、New Cinema Paradiseのサントラを繰り返し流していました。
お客様はどこかでその曲を耳にすると、店のことを思い出し、美味しいパスタが食べたくなるそうです。

すぐには効果が出なくても、良い思い出と刷り込ませることで来店のきっかけになるかもしれません。

 

“あなたのことをよく知ってる店”と思わせる仕掛け
  • 名前で呼ばれる
  • 前回の好みを覚えている
  • 会話の続きがある

 

この積み重ねが、「私の居場所」と思わせてくれます。

ただし、カップルのお客様の場合は注意が必要です。
ドヤ顔で「この前はあれを食べてくれましたよね?」などと話して別の相手との食事だった、なんて言うことになれば信用はガタ落ち。

お客様からのコンタクトがない限りは静観しておくのが無難です。

 

ブランドは“名前”ではなく“感情”
  • 癒された
  • 背中を押された
  • ちょっと元気が出た

こうした感情の記憶が、ブランドとして人の心に残ります。
コミュニケーションマーケティングの目指す本質ですね。

 


まとめ:ブランディングは、記憶と感情の設計

 

飲食店におけるブランディングは、広告ではなく“記憶と感情”の設計です。
再訪を促すのは、味でも価格でもなく、「また会いたい」と思わせる存在感。

ファンとは、自らお店を語ってくれる無償の営業マン。
その存在を育てるには、小さな共感と信頼の積み重ねが必要です。

 

「また来たい」から「誰かを連れて行きたい」へ。

そんなふうに“推される店”になれたとき、お店はもう一段上のステージへ進んでいます。

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