はじめに
飲食店にとって「どこでやるか?」は「何を出すか?」と同じくらい重要なテーマ。
実際に、料理やサービスが良くても“場所選び”で失敗し、閉店に追い込まれるケースは後を絶ちません。
本記事では、立地選びでよくある失敗を5つのパターンに分けて紹介し、それぞれの“落とし穴”と“回避策”を解説します。
【失敗1】「人通りが多い=繁盛する」と思い込んだ
こんなパターン
– 駅前や観光地など、圧倒的な人通りに惹かれて出店
– でもいざ開けてみると、ほとんどのお客さんは素通り…
なぜ失敗?
– 「通る人」と「来る人」は違う!
– ターゲット層が目的を持って訪れる場所かどうかが大事
回避するには?
– 実際にその場所で“立ち止まる人”や“飲食利用する人”を観察
– 店の前に立って、何人がスマホを見ずに看板を見ているかチェック
【失敗2】家賃の安さに飛びついた
こんなパターン
– 他の物件より圧倒的に安い賃料に魅かれて契約
– 周辺はシャッター通り、夜は真っ暗、人通りなし
なぜ失敗?
– 安いには理由がある。過去の閉店歴、治安、ニーズのなさ
– 安く借りても“売れなければ赤字”
回避するには?
– 安さに惹かれたらまず「なぜ安いのか?」を冷静に分析
– 周辺住民や店舗の店主にヒアリングも有効
【失敗3】駅近だけを優先した
こんなパターン
– 駅から徒歩1分!の物件に決めた
– でも実際は出口が裏側/導線が悪く、見つけてもらえない
なぜ失敗?
– 駅近=立地がいい、ではない
– “視認性” “入りやすさ” “導線”が重要な要素
回避するには?
– 実際に現地でターゲット目線で歩いてみる(昼・夜)
– 看板の設置可否や通行人の視点を確認
【失敗4】競合がいない=ブルーオーシャンだと勘違い
こんなパターン
– 周囲に同業がいないからチャンス!と判断
– 開業後、全然お客が来ない
なぜ失敗?
– ニーズがないエリアの可能性
– 土地柄やライフスタイルに合わない業態だとそもそも成立しない
回避するには?
– 競合不在エリア=チャンスとは限らないと心得る
– 同エリアの客層・生活リズム・外食頻度などを調査
【失敗5】人里離れた立地に“話題性狙い”で出したが準備不足だった
こんなパターン
– 山奥の古民家や、集落の外れにおしゃれな店舗を開業
– SNS映えするが、アクセス・認知・リピートが伸びない
なぜ失敗?
– 「来たくなる動機」と「来やすい導線」の両立が難しい
– 発信・広報の準備が弱いと埋もれてしまう
回避するには?
– 狙うなら「体験価値×メディア戦略」で“目的地になる設計”を
– 例:農家レストラン、宿泊・体験とセット化、クラファンによる事前話題化
まとめ
立地調査はいつ始めるべき?
– 理想は開業予定の6~12ヶ月前にはエリア選定と下見をスタート
– 下見が済んだらなるべく早く具体的な物件候補を絞り込み、交渉や内見に入る
– 時間に余裕を持つことで、思わぬ発見や代替案も見つかりやすくなる
– 「人通り」や「家賃」などの数字よりも、まずは“お客様が来たくなる理由”を考える
– 物件選びは“コンセプト×ターゲット”から逆算する
– 不動産業者任せにせず、自分の足で歩き、目で見て確かめる
「理想の条件」は期待しない。
オーナーなら誰でも、理想的な環境の物件がなるべく安く手に入ることを求めますが、出会える確率は非常に低いです。残念ながら妥協しなければいけない場合も数多くあるでしょう。
仮に、思ったように集客ができず、売上が上げられないときに立地条件を言い訳にしないよう、
ご自分のお店のコンセプトやブランディングを今一度整理して、適切なマーケティングや商品開発を進めるようにしていってください!
次回予告
次回は「メニュー開発と原価管理」について。
立地やターゲットに合わせた“売れる商品設計”の考え方を解説します!